特殊清掃の現場において非常に厄介なのが、ウジ虫が発生することです。
基本的に特殊清掃の現場でウジ虫が発生していないケースはなく、特殊清掃の他にウジ虫などの駆除も行なわなければなりません。ウジ虫は特殊清掃において非常に邪魔な存在であり、周辺住民にも迷惑をかけてしまう厄介な存在です。
とはいえ、ウジ虫が頻繁に発見されているということは、もしかしたらどこかで特殊清掃を必要としている現場があるかもしれません。
それでは、孤独死するとウジ虫が湧く原因やウジ虫による二次被害、特殊清掃の手順についてご説明しましょう。
孤独死するとウジ虫が湧く原因
孤独死するとウジ虫が湧いてしまうのは、孤独死した遺体にハエが卵を産み付けてしまうからです。
ハエはどこからともなくやってきて動物の死体や糞、汚物や腐敗した食品に卵を産み付けます。このときに産み付けた卵はたった半日程度で孵化し、蛹になって成虫になるまでたったの2週間しかかかりません。
ハエは孤独死した遺体にも容赦なく卵を産み付けるため、放置するほど特殊清掃の現場は壮絶を極め、不快極まりない状態になっています。
しかもハエは一度に100個ほど卵を産み付けるといわれているので、放置すればするほど大量のウジ虫が発生することになるでしょう。さらに注意したいのが、季節によってウジ虫が発生するスピードが違うことです。
冬場は遺体が腐敗するスピードが遅いですが、ハエは冬に弱いので発生する数が少ないのが特徴です。ハエが少なければ一度に産み付けられる卵の量も少ないので、その分ウジ虫の数も少ないでしょう。
逆に夏場は遺体が腐敗するスピードが速く、ハエも活動的になるので、より多くのハエが卵を産み付けます。その結果、より大量のウジ虫が発生して周辺住民に迷惑をかけることになります。
ハエはどうやって室内に侵入する?
ここで疑問に思うのは、閉め切った部屋で、なぜそこまでウジ虫を生み出すハエが部屋に親友して卵を産んでいるのかという点です。
実は、ハエはごくわずかな隙間から侵入することができるので、たとえ部屋を閉め切っていたとしてもいつの間にか侵入しているのです。玄関や窓の隙間、換気扇、エアコンのホースなど、あらゆる隙間から侵入してくるため、基本的にはどんな家でもハエが発生してしまいます。
どんなに部屋を閉め切っていても関係なくハエが侵入してくる以上、ほぼ確実にウジ虫が大量発生してしまいます。そのウジ虫でさえもわずかな隙間からさまざまな場所へ這い出てしまうため、周辺住民の部屋に侵入して迷惑をかけるでしょう。
冬場はハエが発生しにくいので侵入される数もそこまで多くありませんが、暑くなるほどハエも大量に侵入してきます。そうなると特殊清掃を行なうときの現場は壮絶を極めるでしょう。
特殊清掃現場でウジ虫やハエが発生することによる二次被害とは
特殊清掃の現場でウジ虫やハエが発生することによって、さまざまな二次被害が発生します。
まず、体液を付着させたウジ虫やハエが部屋中を移動することにより、体液が部屋全体へと薄く広がってしまいます。体液は臭いの原因のため、体液による汚染が部屋中に広まると、汚染箇所だけを特殊清掃しても全ての臭いを取り除くことはできません。
さらに厄介なのは、床や壁は臭いを吸い込んでいるだけではなく体液が染み込んでしまっているため、特殊清掃をしただけでは根本的な解決にはなりません。全面的な交換(リフォーム)が必要なのはこれが理由です。
ハエやウジ虫を徹底的に駆除してこれ以上部屋が汚染されないようにするのはもちろん、大家やオーナーに全面リフォームをするように伝える必要性があるでしょう。
また、二次被害の一つとして、部屋の外に這い出たウジ虫が周辺住民の部屋に侵入してしまうことが挙げられます。体液を付着させたウジ虫が周辺住民の部屋に侵入すると、その体液の臭いに誘われたハエまで侵入してしまうことになるので、その部屋の住人も害虫駆除を行なう必要性があるでしょう。
このように長らく放置されていればいるほどハエやウジ虫は現場に限らず周辺住民の部屋にまで侵入してくるため、被害が拡大化していきます。
被害が拡大化するほど、どこかで誰かが孤独死しているのではないかと疑われることで発見に至る可能性が高まるのが皮肉なものですが、その分後処理で苦労することになるでしょう。
ウジ虫が湧いてしまった現場の特殊清掃の手順
ウジ虫が湧いてしまった現場の特殊清掃の手順は、以下の通りです。
除菌・消毒
汚染箇所の特殊清掃
遺品整理
ルームクリーニング
消臭
原状復帰工事
それでは、ウジ虫が湧いてしまった現場の特殊清掃の手順についてご説明しましょう。
除菌・消毒
まず現場の除菌や消毒を行なっていきます。
特殊清掃の現場には無数のウイルスや病原菌が蔓延している状態なので、最初に除菌・消毒を行なわないと作業員も感染する可能性があるでしょう。
特殊清掃業者が使用する除菌剤や消毒剤は、より効果的に効果が発揮できる専用のものを使用しています。一般的に目に見えないミクロレベルの細かな霧状の薬剤を散布していくため、効率良く除菌や消毒を行なっていきます。
汚染箇所の特殊清掃
次に行なうのは汚染箇所の特殊清掃です。
先に故人様の体液が染みついた布団やベッド、生活用品などを全て圧縮袋に入れて空気を抜いていきます。これで臭いを閉じ込めることが可能です。
周辺住民に最大限配慮して汚染物を処理したあとは、洗浄力が非常に高いいくつかの薬剤を使用して汚染箇所の特殊清掃を行ないます。
特殊清掃は、基本的に周辺住民に迷惑がかからないように閉め切った空間の中で行なうため、素早く清掃しなければなりません。
遺品整理
特殊清掃が完了したら、次に遺品整理を行なっていきます。
故人様の人生が垣間見える遺品整理をするのは心苦しいですが、重要なものを処分してしまわないように遺族に確認しながら全ての遺品を搬出していきます。
ルームクリーニング
次に行なうのはルームクリーニングであり、ここで徹底してきれいにできるかどうかが後の消臭効果の高さに繋がります。
部屋中に染みついた油汚れやホコリなども臭いを吸収しているため、そのままでは消臭効果を最大限発揮することができません。
徹底してルームクリーニングを行なわないと、すぐに臭いが再び発生し、トラブルになる可能性があります。
そのようなことにならないためにも、徹底したルームクリーニングを行ないます。
消臭
徹底したルームクリーニングのあとは、徹底した消臭を行ないます。
完全に臭いが取れるまで徹底した消臭を行なうのが基本なので、基本的に平均して3日ほどかけて消臭していきます。
原状復帰工事
特殊清掃を行なってもなお元通りにならないときは、原状復帰工事を行なう必要性があります。
床下などに体液が染み込んでしまい、特殊清掃でもどうにもならないときはいわゆる全面リフォームを初めとする原状復帰工事を行なうことになるでしょう。
現状を鑑みて、原状復帰工事を行なう必要性があるときは大家やオーナーに知らせることになります。
まとめ
特殊清掃においてウジ虫が発生していない部屋など存在しないでしょう。
ハエはあらゆる隙間からでも侵入してくるため、遺体を見つけては卵を100個以上産み付け、ウジ虫を大量発生させていきます。特殊清掃業者は周辺住民に可能な限り迷惑をかけないように、素早く室内に入って特殊清掃を行ないます。
遺体の状態よりもウジ虫などの害虫を苦手とする業者も存在するほど、不快極まりない壮絶な現場となっているため、その対処は一筋縄ではいきません。
それでも徹底した特殊清掃によって元通りにしていくのが、プロの業者の仕事です。