孤独死・孤立死が社会問題化している理由とは?

近年、増え続けている孤独死や孤立死。一人暮らしの高齢者が増えていることが要因の一つとして挙げられていますが、実は他にもさまざまな要因があることが考えられます。

そのため、日本政府や民間企業がさまざまな対策をしていますが、孤独死・孤立死する人は増え続ける一方です。

本記事では、孤独死や孤立死についての概要や孤独死の発生件数、孤独死・孤立死が社会問題化している理由などについて解説していきます。

目次

孤独死・孤立死とは

孤独死・孤立死とは、持病や急病によって誰にも看取られずに一人で亡くなることです。亡くなった際に周りに人がいないため、発見が遅れてしまうケースが多く、場合によっては数週間発見されないこともあります。

また、孤独死・孤立死は一人でいるときに亡くなったという点では同じですが、亡くなるまでにがどれくらい社会とのつながりあったかで使い分けられることがあります。

普段から家族や地域との関わりを持っていた方が亡くなった場合には孤独死と呼ばれます。一方で亡くなる前も家族や友人などの周囲の人と関わりがなく、社会から孤立していた方が一人で亡くなった場合は孤立死となります。

孤独死の場合は家族や友人により亡くなってから数日で発見されるケースが一般的です。

孤立死の場合は、連絡が取れないことに気づいてもらえる機会が少ないため、長期間放置されてしまうことが多いのが特徴です。その場合、悪臭や家賃の支払いが遅れるなどの異変を感じてマンションの管理人が発見するパターンも多々あります。

このように社会的な接点によって孤独死か孤立死かが変わります。

また、孤独死・孤立死は明確な死因を表しているものではありません。病死や自殺などさまざまな原因により亡くなった方のなかから、一人で亡くなった方に対して孤独死や孤立死といった言葉を使います。

孤独死の発生状況

一般社団法人日本少額短期保険協会の発表している孤独死現状レポートによると、前年度に比べて孤独死の発生件数が増加しているのがわかります。

孤独死をしている平均年齢は約61歳で、1位60代(30.6%)、2位70代(20.9%)、3位が50代(19.2%)という結果でした。

孤独死というと高齢者のイメージを持っている方も多いかと思います。

しかし、50代までを現役世代とした場合、孤独死をしている全体の40%が現役世代となっており、若い世代の孤独死も増えていることが読み取れます。

また、孤独死の要因は1位病死(65.6%)、2位自殺(10.9%)で残りは事故死と不明という結果でした。このように半分以上が病死で亡くなっていることがわかります。

一方で注目したいのが自殺で亡くなった方の割合が10.9%という点です。全国民の死因のうち、自殺で亡くなっている割合は1.4%となっているため、全体の10.9%が自殺というのはとても高い数字というのが読み取れます。

さらに孤独死の自殺を分析してみると20代までの女性の割合が40%を占めており、一人暮らしの女性の自殺による孤独死も大きな課題であることがわかるでしょう。

このように孤独死は高齢者だけの問題ではなく20代〜50代までの若い層でも問題となっているのが現状です。

孤独死・孤立死が社会問題化している理由

ますます増え続けている孤独死や孤立死。孤独死や孤立死が社会問題化している理由は以下のようなものが考えられます。

  • 高齢化社会
  • 現役世代の孤独死
  • 人間関係の希薄化(社会的孤立)
  • 単独世帯の増加
  • 経済的困窮

このように1つの理由ではなく、いくつかの大きな問題が複雑に重なり合っているため孤独死や孤立死を解決するためには一筋縄ではいきません。

それぞれの問題について詳しく解説していきます。

高齢化社会

現在の日本は高齢化社会といわれているほど高齢化が進んでいます。この高齢化が孤独死・孤立死の要因の一つになっています。
実際に日本の高齢者の数は3,000万人を超えており、4人に1人が高齢者というのが現状です。

そして高齢者のなかでも一人暮らしをしている高齢者が多いのもポイントです。離婚や死別、子供が大きくなって家を出たなどの理由で一人暮らしをしている高齢者が増え続けています。また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、さらに一人暮らしの高齢者は増えていくことが予想されます。

仕事もなく、家族とも会う機会が少ない高齢者は社会との接点が徐々になくなってしまい、病気や持病で孤独死してしまう可能性が高くなるのです。

現役世代の孤独死

2つ目の理由は、現役世代の孤独死です。50代までの孤独死の割合は、全体の40%を占めており、高齢者だけではなく若い世代の孤独死も大きな問題です。

高齢者の孤独死は病死がほとんどの割合を占めていますが、若い世代は自殺をして孤独死になってしまうケースも多くみられます。
仕事がうまくいかない、大切な人との死別、生活が厳しいなどの理由で自殺をして、誰にも発見されないまま時間が経ってしまうという場合も。

このように高齢者の孤独死を防ぐ方法だけではなく、現役世代への孤独死対策の検討も必要になってきています。

人間関係の希薄化(社会的孤立)

3つ目は人間関係の希薄化によって社会的に孤立している人が増えているという点です。

インターネットの普及、交通システムの発達、社会保障の充実などが重なり、以前に比べて地域とのつながりがなくても問題なく基本的な生活ができる状態になっています。

そのため、ご近所付き合いが減り、コミュニケーションが減少することで社会的孤立をしてしまう人が増加しています。自分の身に何か起きたときや、相談したいときに頼れる人が少なくなっているため、孤独死につながっていると考えられるでしょう。

また、仕事場や自宅以外に自分の居場所が持てなくなっていることも要因の一つです。毎日目の前の仕事や家事に精一杯で趣味などの時間が少なく、休日は仕事で疲れて寝ているうちに終わってしまう。このように日々何かに追われて、居場所を作れないという人も増えています。

単独世帯の増加

単独世帯の増加も孤独死が社会問題化している理由の一つです。特に高齢者の単独世帯が増加しており、身体や心の異変に誰も気づいてくれないという問題があります。

厚生労働省の「我が国の高齢者を取り巻く状況」によると高齢者のいる世帯は30年前に比べて2倍以上に増加しており、単独世帯は全世帯の4 分の1を占めていることがわかります。

近年では一人暮らしの高齢者向けの見守りサービスが増えたり、遠隔で状況を把握できる電気機器が開発されたりと対応策は増えていますが、それでもすぐにコミュニケーションを取れる状況にはない単独世帯が多いのが現状です。

経済的困窮

経済的困窮も孤独死へ影響をおよぼしています。

具体的には会社が倒産してしまったり、リストラによって経済的困窮に陥ってしまい収入が減少。その結果、体調に異変を感じても病院に行けず、一人で病死してしまうケースもあります。

また、貧困してしまう要因はさまざまですが、失業や正規雇用につけないと離婚してしまったり、結婚へ前向きになれなかったりして社会的な孤立につながってしまうことも。

経済的に困窮しているだけではなく社会的にも孤立してしまうと、孤独死や孤立死の可能性がぐんと上がってしまいます。

まとめ

ここまで孤独死の発生件数、孤独死・孤立死が社会問題化している理由などについて解説してきました。
誰にも看取られず、一人で亡くなることを孤独死や孤立死と呼ばれており、亡くなった方の社会とのつながり方で呼び方が異なります。また、日本における孤独死の件数は増加傾向にあり、現役世代の孤独死の割合は40%も占めています。

孤独死・孤立死が社会問題化している理由は、高齢化や現役世代の孤立死などさまざまな理由が複雑に関わっているため、日本政府や民間企業だけではなく、一人ひとりが対策について考える必要があるでしょう。

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この記事を書いた人

MIND株式会社のアバター MIND株式会社 代表取締役

遺品整理、特殊清掃の際には、ご遺族・ご親族さまの立場に立ち、心に寄り添い、残された品々を丁寧に適切に扱うことを信条としています。

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