孤独死や自殺現場など、特殊な部屋の清掃を行なう特殊清掃員。他の職業に比べて、給料や年収はどのくらいなのでしょうか。精神的にも体力的にもハードな職業内容ですが、その分儲かりそうなイメージを持っている人も少なくありません。
今回は、特殊清掃員の給料や年収についてご紹介します。
結論からいうと、特殊清掃員の給料は他の職種と比べて平均的な相場です。ただ、福利厚生などは手厚いことが多く、仕事に取り組む姿勢や資格の取得次第では給料の大幅アップも可能になります。求人の探し方や探す際のポイントも併せてご紹介します。
特殊清掃員の給料・年収
実際に特殊清掃員の給料や年収はどのくらいなのでしょうか。正社員の一般的な相場をご紹介します。
月収20～30万円と平均的
特殊清掃員の給料は月20〜30万円前後と、他の職業に比べて平均的な相場です。年収に換算すると、おおよそ240〜360万円ほどとなります。
基本的には勤続年数とともに年収も上がっていく傾向です。3年勤務で年収は400万円以上になり、5年勤務で500〜600万円、7年勤務で600万円以上といった具合です。特殊清掃員の業務内容を考えると、人によっては少ないと感じることもあるかもしれません。
高齢化社会による孤独死の件数が増え始めた2008年ごろ、特殊清掃の需要は一気に高まりました。当時はまだ特殊清掃業者も少なく、給料相場は平均40〜60万円前後と高く、他の職業の平均を上回っていました。
しかし、需要に合わせて特殊清掃業者が増加し、供給過多によって次第に給料も下がってしまいます。こうして、現在の平均月収20〜30万円となりました。
特殊な仕事柄やテレビなどのイメージによって儲かりそうな仕事と思われがちですが、給料は一般的な会社員とほとんど変わらないのが現状です。
ボーナス（賞与）の有無は会社による
ボーナスがあるかないかは、特殊清掃業者によって異なります。年1回支給の会社が多いですが、なかにはボーナスの支給がないところも珍しくありません。
業績が安定している会社であればボーナスが支給されることがほとんどですが、供給過多によって業績が不安定な会社も多く存在します。
会社によって給料・年収は大きく異なる
特殊清掃員の給料や年収は、会社によって大きく異なります。そのため、特殊清掃員として安定したキャリアを積みたいのであれば、会社選びも重要です。
ただ、学問はもちろん経験や資格を問わず就職できることを考慮すると、待遇のよい会社が多いのは事実です。肉体的・精神的にハードですが、しっかり成果を出すことで給料アップも可能になります。
また、特殊清掃員に必須の資格は存在しませんが、持っていると便利な資格は多数あります。キャリアを積みながら資格取得をすることで、給料も上がりやすくなるでしょう。
アルバイトの特殊清掃員の給料（時給）は？
特殊清掃員にはアルバイトでの雇用も多く、一般的な給料相場は時給1,000～2,000円前後です。これは地域によって異なり、都心部では高くなる傾向ですが、地方だともう少し低くなります。
また、時給ではなく日給といった給料形態にしているところも少なくありません。仕事上、作業時間が不明確なことが多く、時給よりも日給のほうが支払いがスムーズに行なえるためです。日給の場合、1日あたりの平均相場は10,000～20,000円ほどになるでしょう。
給料平均からもわかるように、肉体的・精神的にハードな仕事ながらも時給が高いというわけではありません。ただ、ほとんどの場合はやる気と実力次第で時給が上がっていく仕組みです。
特殊清掃員の福利厚生や待遇は？
特殊清掃員は遺体の腐敗による汚染物の除去や消臭・害虫駆除など、過酷な現場をこなすことが多く、離職率が非常に高い職業です。そのため、福利厚生は他の業種よりも優遇されていることが多い傾向にあります。
具体的には、社会保険、各種慶弔制度、健康診断といった一般的な福利厚生はもちろん、社員寮を完備している会社も存在します。きれいな設備の社員寮を用意している会社もあり、地方から出稼ぎで就職する人も少なくありません。
他にも、時間外勤務・休日勤務・深夜勤務などの各種手当や、役職・管理職への手当、交通費など手厚い保障が期待できます。
ただし、契約社員の場合は退職金やボーナスなどの特別給料がないケースもあるため、雇用契約書をしっかり確認しましょう。
特殊清掃員の求人の探し方
いざ、特殊清掃員になりたいと思ったとき、どこで求人を探せばよいのか悩む人も多いでしょう。ここでは、特殊清掃員の求人の探し方についてご紹介します。
特殊清掃会社のホームページ
一番手っ取り早く探せるのは、特殊清掃会社のホームページを確認することです。特殊清掃員は、会社のホームページで積極的に採用情報が掲載されていることが多い傾向にあります。希望の勤務地にある会社を探して採用情報がないか確認してみましょう。
業界全体としてはハードな仕事柄、慢性的な人材不足に陥っているのが現状です。掲載がない場合も、気になる会社があったら電話やメールで問い合わせてみるのもよいでしょう。やる気が伝われば、採用につながるかもしれません。
転職サイト
確率としては高くありませんが、一般的な求人サイトでも特殊清掃員の仕事を見つけられます。求人サイトのキーワード検索で探してみましょう。
ただ、特殊清掃員は特殊清掃がメインではなく、複数の業務の1つにすぎません。特殊清掃以外にも、遺品整理や不用品回収などの業務を行なっていることがほとんどです。
検索をかけて探す場合は、遺品整理・片付け・清掃・不用品回収などのキーワードも含めてみましょう。特殊清掃で見つからなくても、他のキーワードから特殊清掃員の求人を見つけられるかもしれません。
ハローワーク
特殊清掃員はハローワークの求人票からも探せます。特に、特殊清掃業は中小企業が多く、費用の面から大手求人サイトなどを利用して採用情報を掲載するところは少ない傾向です。
ハローワークでは求人の掲載に費用がかからないため、積極的に活用してアルバイトや正社員の募集をしている会社も多くあります。ただ、ハローワークの求人票は文字のみでの表記のため、仕事内容をイメージしづらいのが難点です。
最近ではハローワークに直接行かなくてもインターネットで求人情報を検索できるようになっています。イメージしやすいように会社のホームページと併せて、ハローワークの求人もチェックしてみましょう。
まとめ
今回は、特殊清掃員の給料についてご紹介しました。
特殊清掃員は非常にハードな仕事柄ですが、給料は他の職業とほとんど変わらないのが現状です。ただ、手厚い保障や優遇がされていることが多く、給料もやる気と実力次第で上がっていくことがほとんどです。
また、特殊清掃員をするうえで一番大切なことは故人の尊厳を守ることです。お金ではない、思いやりの心を持って業務に携わりましょう。その姿勢が対価として給料につながります。
キャリアを積むと同時に、あると便利な資格を取得するのもおすすめです。経験と知識を蓄えていくことで、給料アップだけでなく独立も夢じゃありません。
